役員(取締役)を増やす場合
就任
会社の役員を増やすという変更には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 同一人物が再選された場合(重任ではない)
- 新たな人物を役員として増員する
役員を増やす時に重要なのは会社の定款の内容を確認することです。
<取締役の任期>
株式を公開しておらず(非公開会社)株式の譲渡制限がついている会社の場合、現在では役員の任期は最長10年まで定めることができますが平成18年5月までは、取締役の任期は2年、監査役の任期は3年(平成13年12月改正により4年に延長)と旧商法で定められていました。その理由から平成18年4月までに設立した株式会社の方は役員の任期を定款で確認することが必要です。
役員の任期満了に伴う再選(重任)をしていない場合は、申請を出した段階で登記官に気付かれ指摘されることでしょう。
重任登記などの懈怠を1年以上も放置したままだと、「過料」とう罰金のようなものが科せられます。この過料はその会社の代表取締役に裁判所から請求されますが、払ったとしても会社の経費にはなりませんし、払わないと代表取締役の財産が差し押さえられます。
このような、面倒にならない為にも、役員を変更する際には過去の重任登記の有無を確認しておかなくてはなりません。
<役員の任期の変更>
今回の役員の増員をする変更登記の申請に伴い、役員の任期を変更する臨時株主総会の決議と変更した定款を提出することにより、その後の役員の任期を変更することができます。
<取締役の員数(人数)の制限>
定款には
(取締役の員数)第17条 当会社の取締役は、「1名以上とする」「3名以内とする」
などと、取締役の人数の制限に関する事項が設けられています。
従いまして、取締役の数が「3名まで」と定められているのにも拘わらず、増員をしてしまうと3名を超えてしまうといったケースも起こるでしょう。そういった場合は役員の増員の手続きと同時に、定款の記載事項を変更する臨時株主総会の議決も必要となります。
役員の重任
役員には任期があります。取締役である人物が役員の任期満了と同時に再選されることが「重任」です。この場合は任期満了に伴い退任し、時間をおかず(同時に)就任したものとした申請をします。
この役員変更登記は本店所在地において,2週間以内に行わなければ,登記懈怠となり,過料に処せられる可能性があります。
また、注意しなければならないのは、別な性格の変更登記(目的・商号変更・本店移転など)の際に重任登記の懈怠-けたい(重任忘れ)が有る場合は、重任登記の申請も同時に行わなければなりません。
1回だけ忘れている会社、設立当初からずっと重任登記を行っていない会社など様々な懈怠(重任忘れ)がありますので、注意をすると同時に定款の見直しも必要です。
代表取締役の選任方法
<取締役会設置会社の場合>
この場合は取締役会の過半数が出席すれば取締役会は成立しますので、取締役会を開催して代表取締役を選定します。
<取締役会の無い会社>
代表取締役を選ぶ時には、定款で定める方法と、定款で定めた方法で選任するといった2つの方法があります。
定款に選任方法を定めている場合は以下のような条文になっている場合が多いようです。
例) 当会社に取締役を2名以上置く場合には、取締役の互選により代表取締役1名を定める。
2 当会社に置く取締役が1名の場合には、当該取締役を代表取締役とする。
☆定款で代表取締役を定めている会社はめったにありません。
このような代表取締役の選方法ですと、役員変更登記で、その方が代表取締役のみを辞任して取締役だけになる等の場合などの場合は変更登記が面倒なものになってしまいます。
☆役員変更でも代表取締役の変更登記を行う場合は、代表取締役の選任方法を記載した定款を一緒に提出しなければなりません。
変更以前の選任方法では、選出できない場合もありますので、変更登記申請のタイミングで代表取締役の選任方法の変更(定款の変更)も株主総会にて決定し、その定款を提出するという方法もあります。