株式会社の本店移転登記
会社の所在地が変わった場合
1.本店が移転した場合
株式会社が本店を他の登記所の管轄に移転したときは,移転の日から2週間以内に変更登記が必要です。
旧本店所在地においては移転の登記を,新本店所在地においては設立登記事項と同一の事項及び会社成立の年月日並びに本店を移転した旨及びその年月日を登記しなければなりません。そして,この場合の新本店所在地における登記の申請は,旧本店所在地を管轄する登記所を経由してしなければならず,かつ,旧本店所在地における登記の申請と同時にしなければなりません。
2.市町村合併で市町村名が変わった場合
市町村合併などで登記簿に記載された行政区画等に変更があった場合には,その旨の登記がないときであってもその変更による登記があったものとみなされます。この場合には,登記官は職権をもって変更があったことを記載することができるとされています。しかし,実際上は,登記官は市町村長の合併や名称の変更があったかどうかということがわからないことが多いため,申請人からの申出によってする必要があります。なお,この場合には登録免許税は課されません。
なお,市町村名が変わったことに伴い,定款に記載された本店の所在地と一致しないこととなる場合において,定款の字句を変更するには株主総会の決議を要することとなりますので注意が必要です。
本店移転登記手続きの注意点
会社の本店移転手続きを行うにあたり,以下の3点につ いて確認します。
POINT1: 定款変更の必要があるかどうか?
定款に具体的な所在地まで記載してある場合
→本店移転により定款変更が絶対に必要
定款に最小行政区画(市町村)のみ記載してある場合
→移転先がその範囲外である場合のみ定款変更が必要
POINT2. 移転先の法務局の管轄が現在と異なるかどうか?
同一管轄区域内での移転の場合
→当該法務局に本店移転登記申請をすることでOK( 登録免許税は3万円)
他の法務局管轄区域への移転の場合
→旧本店所在地の法務局への申請と新所在地の法務局 への申請の2件の登記申請書が必要です(登録免許税は6万円)。ただし,申請書は同時に旧所在地の法務局へ 提出します。
POINT3. 商号の調査が必要かどうか?
類似商号調査の必要性は会社法の施行によって薄れました。しかし,不正競争防止法等の観点からも,法務局において変更後の商号の事前調査を行っておくことをお勧めし ます。
管轄内本店移転手続きの流れ
STEP01:株主総会を開催し,定款変更,本店移転先 及び移転時期を決議
STEP02:取締役会を開催し,本店移転先及び移転時 期を決議(会社によっては省略可)
STEP03:本店移転
STEP04:必要書類を作成
株主総会議事録と取締役会議事録又は取締役の過半数の 一致を証する書面を作成します。
STEP05:申請
株主総会で定款変更の決議が可決された場合には,本店 所在地で2週間以内,支店所在地では3週間以内に登記をしなければなりません。
管轄外本店移転手続きの流れ
STEP01:株主総会を開催し,定款変更,本店移転先 及び移転時期を決議
STEP02:取締役会を開催し,本店移転先及び移転時 期を決議
STEP03:本店移転
STEP04:必要書類を作成
株主総会議事録と取締役会議事録又は取締役の過半数の 一致を証する書面を作成します。
STEP05:申請
株主総会で定款変更の決議が可決された場合には,本店 所在地で2週間以内,支店所在地では3週間以内に登記をしなければなりません。
※旧管轄法務局へ全ての書類を提出します。新管轄法務局に提出すべき書類は旧管轄法務局から自動的に移送され ます。
移転に関する登記費用
法務局の同管轄に本店を移転した場合の手続き
費用:5,500円+登録免許税30,000円
法務局の管轄外に本店を移転した場合の手続き
費用:7,700円+登録免許税60,000円