株式会社の経営サイクルと資本金について
『増資』についてお話をする前提として、まず、『資本』を軸としての会社の構造について、いま一度整理してみましょう。
『会社』の設立、解散、組織といった会社に関する定義、決まりについては、『会社法』という法律に詳しく定められており、『資本』についても同様です。
会社は営利を目的として事業を展開し、そこにおいて、経営者や従業員は夢や目標の実現を果たします。
『会社』には、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類があり、その中でも株式会社は、一番身近な形態の会社組織といえます。
ここでは、『株式会社』の『増資』を中心にお話します。
会社は、お金がないと経営が成り立ちません。
株式会社の資金調達方法として、まず、株式会社を設立するときの資本金があります。
資本金とは、設立又は株式の発行の際に、株主となる者がその株式会社に対して払込み(現金)又は給付(現物出資)をした財産の額のことです。
法律上では、今や、資本金が1円であっても会社を設立することができます。
しかし、極端に資本金が少ないとすぐ資金繰りに困ってしまいますし、社会的にもある程度の資本金の額を掲げているほうが、信用面においても有利であることは否めません。特に融資を受ける(銀行などからお金を借りる)ことを考えている場合には、資本金の額が1円や1万円では融資を受けるのは困難を極めることになります。
株式会社を設立し、実際に事業を始めた後は、資本金は経営をするために(会社の備品を買ったり、仕入れ代金を支払ったり、従業員の給与を支払ったり…)活用されます。資本金が多いほど、それだけ事業に使えるお金が多いということになりますので、自ずと大きな会社であるともいえます。
備品を使用し日常業務をこなし、仕入れた商品を販売したり製品を製造したりし、そして給与を受け取る従業員が労働することで会社は利益を得ます。
このような一連の流れの連続が会社の経営であり、根幹にある大切なものの一つが資本金なのです。
次に株式とは、株式会社が資金を調達するために発行するものです。株式の発行を受けた者は、株主となり、その会社に対して、保有する株式分の議決権を持つことになります。
その議決権を行使することにより自分の意見を直接その会社に反映することも可能になります。
また、会社の利益が上がれば、株主に対して配当金が支払われ(企業が出した利益の一部を株主に還元する)、お互いに利益が循環する流れができます。
このように、応援したい会社に出資する(事業の元手となるお金を出す)ことは、その株主にとっても大きなメリットとなります。
株式会社は、経営と所有を分離することで広く資金調達ができ、人材も幅広く登用でき、多様な事業を展開することが可能になるという側面があります。
会社経営をするうえで、資本金、株式、株主は、お互いに密接な関係にあるというわけです。